京ことば ちょっと知っときまひょか

京ことばは主格をあえて伏せるというのが特徴です。
源氏物語の長文の中ではいつの間にか主格が替わっているということもあります。
そんな時、敬語(丁寧語、謙譲語、尊敬語)を頼りに聴くと、
立場や身分が判るので、人物の判定に役に立つかと思います。

 


尊敬語

*「お~やす」
身分に上下のあるときにははっきりとことばが使い分けられます。
例えば源氏の君と君より身分の低い女が会話をしている場面では、
源氏の君の台詞が「仰せやす(尊敬)」と表現されるのに対し、
女は「言います」「申します(謙譲)」と書かれています。
このように、身分の高い方の動作では「お話ししといやす」
「~へお行きやす」と「お~やす」が使われるのです。
また女房などが高貴な方に「奏上(申)して」と表現されるのに対し、
身分のある方がさらに高い身分の帝に対しては「奏上おしやして」となります。
応用編:知らんかった→知りまへなんだ→お知りやさしまへなんだ

 

尊敬語(含む:美化語)

* 「御 (お、おん、ご、み)、尊、貴、玉」
お直衣、おぐし、おん様子、おん果物、ご威光、ごもっとも、み車、み几帳

* 御所ことばと町方の「お~さん」
お日様を「おひーさん」、お雛様を「お雛さん」、比叡山から吹く風を「ひえーさん」というように、
御所ことばに由来する最高敬語の「さん」と町方で使う「さん」があります。
町方の代表格、「おくどさん」はかまどのこと、「お豆さん」「おたまさん(卵)」「ややさん(赤ちゃん)」他。

 

丁寧語

* 「おす」「ござります」
敬意の高い助動詞です。「ございます」の意で、中井先生のテキストでは
「可愛おして」「きれいに設えてござります」とさらに使い分けておられます。

* 「はる」
「お~やす」より少し敬意度の低いのが「はる」です。
「あの人は来ない」は「あの人は来はらしまへん」。
(尊敬だと「あのお方はおいでやさしまへん」となります。)
京都では日常的に「こんなとこにお花咲いたはる」
幼い子がお友達にぶたれても「**ちゃんたたかはった」
などと、人、草木や動物、物に対しても、この「はる」を使います。

* 「どす」
ご存知の通り、「です」の京ことばです。現在若い方は日常的には使わなくなりましたね。

 

 

謙譲語

「**を下さい」は、現在の気軽な間柄では「**ちょうだい」や、
「**おくない」などといいますが、
「すんまへんけど、**おくれやさしまへんやろか」という、伺う形でへりくだった表現になります。
待つは「お待ち申し上げる」、また、見るは「拝見する」、
するは「致す」などと語彙自体が変化するのはご存知の通りです。

(お食事などで)「もう少し如何?」との勧めに、
「へぇおおきに、そやけど もう ぎょうさん(沢山)頂きましたさかい・・・」
と最後までいわずに「結構です」も添えません。直接的な表現を避けるのが敬意を高める表現です。
このような婉曲表現は依頼や辞退のときによく使われます。

 

畳語

敬意を強める使い方。「帰って下さい」は「お帰りやして おくれやす」。
また、現在日常的な畳語としては、「物価が高くなった」を「物価がタコタコなりましたわ」
他に「アツアツ(暑く)なる」「チコチコ(近く)寄った」「キツキツ(ひどく)腫れた」など。
また幼児語には「ナイナイする(物をしまう)」「ヨイヨイ(歩く)」「テンテン(手拭い)」
「チャイチャイ(お風呂)」などたくさんあります。